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  • Maydo Journal #006

    Maydo Journal #006

    会社を立ち上げる、と聞くと、多くの人は東京や大阪といった都市部をイメージするかもしれません。情報が集まり、人材も多く、チャンスも豊富。実際、僕もかつては「起業=都市」というイメージを持っていました。

    でも、僕が会社をつくる場所に選んだのは、兵庫県の豊岡という小さな地方都市でした。
    「なぜわざわざ地方で?」と聞かれることも少なくありません。今日はそのリアルについて、少し書いてみたいと思います。


    僕の記事を初めて見ていただいた方は、ぜひ自己紹介ページも見てください!

    https://note.com/embed/notes/n44dd574f49ba

    目次

    1. 地方での起業にある「現実」
    2. それでも「やってよかった」と思える瞬間
    3. 地方だからこそ「ブランドづくり」が生きる
    4. 地方から挑戦するということ

    地方での起業にある「現実」

    まず正直に言えば、地方で会社を立ち上げるのは簡単なことではありません。というのは、みなさん想像の範疇ですよね(苦笑)

    都市部と比べると、人材の層は厚くありません。専門的なスキルを持つ人と出会う機会も限られています。イベントやビジネス交流会に出ればすぐにつながりが広がる東京とは違い、一つひとつの出会いを自分でつないでいくしかない。

    また、スピード感も異なります。都市部なら数週間で動くプロジェクトも、地方では数ヶ月かかることもある。季節の行事や地域のリズムが生活の中に組み込まれているので、「合理的に効率よく」という発想だけでは動けないことも多いのです。

    これらは、地方で起業すると必ず直面する「現実」だと思います。


    それでも「やってよかった」と思える瞬間

    ただ、地方で会社を立ち上げて本当によかったと感じる瞬間も、同じくらいたくさんあります。

    たとえば、近所のお店で「この前の記事読んだよ。応援してるからね」と声をかけてもらえること。都市部ではなかなか感じにくい、人と人との距離の近さがあります。

    また、地域のイベントや行事に関わる中で「一緒にやろう」と自然に声をかけてもらえる。まだ始めたばかりの会社なのに、地域の一員として受け入れてもらえる。小さな声がそのまま大切な声として届く環境があるんです。

    これは、都市部では得がたい実感です。地方では、一つの取り組みが町全体に波及する可能性がある。小さなアクションが社会に与える影響の大きさに、日々驚かされています。


    地方だからこそ「ブランドづくり」が生きる

    僕が地方で会社を立ち上げようと思えたのは、「ブランドづくり」を軸にしたいと思ったからです。

    ブランドとは、格好良いデザインや広告をつくることではなく、「自分たちの意味を言葉や形にして、社会に届けること」です。

    地方には、すでに豊かな“意味”が存在しています。
    職人が何十年も守ってきた技術。地元に根づいた食文化。季節の風景と一緒に受け継がれてきた祭り。都市部では探しても見つからないような、深い物語がたくさんある。

    ただ、その意味が「外の人」に伝わりにくいことも多い。ここで必要になるのがブランドづくりです。
    内側にある想いを外の言葉に翻訳していく。そのプロセスこそが、地方にこそ求められていることだと思います。

    豊岡で会社を立ち上げると決めたとき、僕は「ここでなら意味を形にできる」と直感しました。都市では当たり前すぎて埋もれてしまう物語が、地方ではひとつひとつ大切に扱われ、社会に届け直す余地がある。


    地方から挑戦するということ

    もちろん、地方で起業するのは勇気がいります。便利さや効率を手放す部分もあるし、都市部ほどのスピード感も得られない。

    でも、地方には「一緒にやろう」と背中を押してくれる人たちがいる。続けていく理由をくれる物語がある。そして、社会にまだ翻訳されていない価値が眠っている。

    僕にとって会社を立ち上げることは、「地方の意味を社会につなぐ挑戦」そのものです。

    これから先、どれだけ困難があっても、地方で挑戦するリアルを自分の言葉で語り続けたい。そう思っています。

    あなたにとって「会社を立ち上げる場所」を選ぶとしたら、どこでしょうか?
    そして、そこでどんな物語を翻訳していきたいですか?

    素敵な週末をおすごしください。

  • Maydo Journal #005

    Maydo Journal #005

    事業をしていると、こんな声をよく耳にします。

    「想いはあるんだけど、なかなか伝わらない」
    「自分たちの良さをどう言えばいいのかわからない」

    実際、たくさんの人や組織が“伝えたいこと”を持っています。ところが、その想いがそのまま届くことはほとんどありません。なぜなら、自分の中で大切にしている言葉と、相手が理解できる言葉は、必ずしも同じではないからです。

    そこで必要になるのが「翻訳」です。


    今日はそんなことをお届けしていきたいとお思います!
    僕の記事を初めて見ていただいた方は、ぜひnoteの自己紹介もご覧ください!

    https://note.com/embed/notes/n44dd574f49ba

    目次

    1. 想いを社会に届ける“翻訳”という視点
    2. 地方だからこそ必要な「翻訳力」
    3. 翻訳は「嘘をつくこと」ではない
    4. あなたは、何をどう翻訳しますか?

    想いを社会に届ける“翻訳”という視点

    ブランドというと、ロゴやデザイン、広告のイメージを持つ人が多いかもしれません。けれど本質は「翻訳」です。

    自分たちの中にある“らしさ”や“意味”を、そのままではなく、相手が受け取れる形に変換して届けること。これこそがブランドづくりの役割だと思うのです。

    たとえば、ある鞄職人さんが「昔ながらの技法で、一針一針ていねいに縫っている」という誇りを持っているとします。でも、そのまま「昔ながらの技法」と言葉にしても、多くの人には伝わりにくい。

    そこで翻訳が必要です。
    観光客や海外の人に伝えるなら、「100年後も使える“相棒”を生む技術」と表現するかもしれません。日常生活での価値を意識すれば、「毎日を支える道具としての安心感」と言い換えられるでしょう。

    翻訳とは、相手に届く言葉を選ぶこと。

    つまり、ブランドとは“意味の翻訳装置”なのです。


    地方だからこそ必要な「翻訳力」

    豊岡に住むようになってから、地方には強い想いを持つ人が本当に多いと感じます。農家さん、職人さん、小さなお店の経営者の方々。みんなそれぞれに深い物語を持っています。

    でも、その物語が外に届かないまま、地元の中だけで完結してしまうことも少なくありません。せっかくの魅力が伝わらずに埋もれてしまうのは、もったいないことです。

    たとえば、出石焼の作家さん。本人にとっては「先代から受け継いだ窯を守る」という強い想いがある。でも観光で訪れる人にとっては、その言葉だけでは距離があるかもしれません。そこに「日常の食卓に、静かな余白を添える器」と翻訳すれば、共感はぐっと近くなります。

    地方の魅力は、内側にある“想いの深さ”にあります。だからこそ、それを外の人がわかる言葉に置き換える翻訳力が、未来を切り開くカギになるのです。


    翻訳は「嘘をつくこと」ではない

    ここで誤解してはいけないのは、翻訳とは“盛ること”でも“取り繕うこと”でもない、ということです。

    翻訳は、あくまで相手が理解できる言葉に変える作業です。英語を日本語に訳すときと同じように、意味をすり替えるのではなく、伝わる表現に変換するだけ。

    だから、ブランドづくりとは「自分たちの想いを捨てること」ではありません。むしろ、自分たちの根っこにある意味をしっかり見つめ直し、それを社会につなげる橋をかけること。

    僕自身、ブランドの仕事をしていて一番やりがいを感じるのは、この瞬間です。相手の目の前で「なるほど!」と腑に落ちる瞬間が生まれる。言葉が通じたとき、人と人が本当につながるのを感じます。自分たちの価値って、あまり考えようとしないですよね。


    あなたは、何をどう翻訳しますか?

    ブランドづくりは難しく考える必要はありません。
    「自分の想いを、そのままではなく、相手にわかる形に置き換える」――まずはそれだけで十分です。今日もある杞柳細工の職人さんとこの話をしていました。

    ・お客さんにとっての言葉は何か?
    ・地域外の人が聞いて、すぐにイメージできる表現は?
    ・次の世代に語り継ぐなら、どう伝えるか?

    そんな問いを立てながら翻訳していくことが、あなたの事業や活動を“ブランド”へと育てていくはずです。

    あなたが今、大切にしている想いは、どんな言葉に翻訳すれば届くでしょうか?そして、その翻訳は、誰の心に届くでしょうか?

    では、また来週、お会いしましょう。