事業や活動をしていると、必ず立ち止まる瞬間があります。
「どうして自分はこれをやっているんだろう?」
「これって意味があるんだろうか?」
最初にスタートを切るときは、勢いと熱意で進めます。新しい挑戦にワクワクして、夜遅くまで作業をしても疲れを感じない。まわりから応援の声も集まって、どんどん加速していく。
でも数か月、あるいは数年が経つと、その熱は少しずつ落ち着いていきます。最初のような反応は得られなくなる。努力に見合う成果が見えず、焦りや不安が大きくなる。やっている意味はあるのだろうか、と思ってしまう。
僕自身も、そんな経験を何度もしてきました。
何かを「始める」よりも、実は「続ける」ことの方がずっと難しい。続けられない理由はたくさんありますが、その一つに「支えてくれる拠り所がない」ということがあると思います。
みなさん、こんにちは。ブランディングカンパニーMaydoの森下です。僕の記事を初めて見ていただいた方は、ぜひnoteの自己紹介もご覧になってください!
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目次
- 「意味」があるから続けられる
- ブランドは「続ける理由」を思い出させる
- 豊岡で気づいた「続けること」の意味
- ブランドは「物語」を与えてくれる
- あなたの「続ける理由」は何ですか?
「意味」があるから続けられる
では、人はなぜ続けられるのか。
それは、「意味」があるからです。
たとえば、売上や数字だけを目的にした取り組みは、思ったように成果が出ないとすぐに気持ちが折れてしまいます。でも「なぜこの事業をやっているのか」「誰にとってどんな価値を生みたいのか」という“意味”が腹落ちしていると、不思議と続けられる。
意味があるから、工夫を重ねる力が出る。
意味があるから、時間がかかってもあきらめずに歩ける。
この「意味」を目に見える形にしてくれるのが、ブランドです。
ブランドは「続ける理由」を思い出させる
ブランドという言葉を聞くと、多くの人は「見せ方」「デザイン」「ロゴや広告」をイメージします。もちろんそれも大切な要素ですが、本質ではありません。
ブランドの本質とは、「なぜ続けるのか」を思い出させるものです。
ある飲食店の話を紹介します。
地元の野菜を使った料理を出している小さなカフェ。はじめは「オシャレで美味しい」とSNSで話題になったのですが、数か月すると客足が落ち着いてしまったそうです。そこでオーナーは、自分たちの原点を振り返りました。
「自分がやりたいのは“映える料理”ではなく、農家さんの思いを届けることだったはず」
その気づきから、お店は単なる飲食の場ではなく「地元農家とお客さんがつながる場所」として打ち出し直しました。店内には農家さんの顔写真やコメントを掲示し、メニューには野菜が育った背景を書き添えるように。すると常連が増え、地域の人にも応援される存在になった。
変わったのは味ではなく、「意味の伝え方」でした。ブランドを見直したからこそ、「なぜ続けるのか」をお客さんと共有できたんです。
豊岡で気づいた「続けること」の意味
僕が拠点にしている兵庫県豊岡市は、鞄の産地として知られています。
ここには100年以上、技術を受け継いできた職人の方々がいます。
ある工房の職人さんが、こう言っていました。
「うちは派手な広告もないし、作っているのは昔ながらの鞄。でも“うちの鞄を使って卒業式に出た”とか、“親子で代々使っている”っていう話を聞くとね、やっぱり続けてきてよかったと思うんです」
この言葉を聞いて、胸が熱くなりました。
技術を守り続ける理由は「儲かるから」ではなく、「人の節目に寄り添えるから」。意味があるからこそ、時代が変わってもしぶとく続けられるのです。
また、地方の暮らしそのものも「続けること」と向き合っています。四季の行事、地域の祭り、田んぼの手入れ。効率的ではないけれど、意味があるから繰り返される。その積み重ねが、町の文化をつくってきました。
ブランドも同じ。
一瞬の華やかさではなく、意味を支えにして積み重ねていく営み。
ブランドは「物語」を与えてくれる
ブランドを一言で言うなら、「物語」だと思います。
単なる商品やサービスではなく、「なぜそれをやるのか」「どんな価値を届けたいのか」という物語。それを持っているかどうかで、活動の強さはまったく変わります。
売上やトレンドは移り変わります。でも、物語は残ります。
そして物語があるから、人はついてきてくれるし、自分自身も立ち戻れる。
だからこそ、ブランディングの本質は「格好よく見せること」ではなく、「自分たちがなぜ続けるのかを見つめ直すこと」だと僕は考えています。
あなたの「続ける理由」は何ですか?
今、あなたが続けていることには、どんな意味がありますか?
成果や効率のことを一度横に置いてみて、心の奥にある「なぜ」を見直してみてほしい。
その「なぜ」こそが、あなたのブランドの種になる。
そしてきっと、しんどい時にも背中を押してくれる。
ブランドは、あなたに「続ける理由」をくれるものだから。


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