Maydo Journal #005

事業をしていると、こんな声をよく耳にします。

「想いはあるんだけど、なかなか伝わらない」
「自分たちの良さをどう言えばいいのかわからない」

実際、たくさんの人や組織が“伝えたいこと”を持っています。ところが、その想いがそのまま届くことはほとんどありません。なぜなら、自分の中で大切にしている言葉と、相手が理解できる言葉は、必ずしも同じではないからです。

そこで必要になるのが「翻訳」です。


今日はそんなことをお届けしていきたいとお思います!
僕の記事を初めて見ていただいた方は、ぜひnoteの自己紹介もご覧ください!

https://note.com/embed/notes/n44dd574f49ba

目次

  1. 想いを社会に届ける“翻訳”という視点
  2. 地方だからこそ必要な「翻訳力」
  3. 翻訳は「嘘をつくこと」ではない
  4. あなたは、何をどう翻訳しますか?

想いを社会に届ける“翻訳”という視点

ブランドというと、ロゴやデザイン、広告のイメージを持つ人が多いかもしれません。けれど本質は「翻訳」です。

自分たちの中にある“らしさ”や“意味”を、そのままではなく、相手が受け取れる形に変換して届けること。これこそがブランドづくりの役割だと思うのです。

たとえば、ある鞄職人さんが「昔ながらの技法で、一針一針ていねいに縫っている」という誇りを持っているとします。でも、そのまま「昔ながらの技法」と言葉にしても、多くの人には伝わりにくい。

そこで翻訳が必要です。
観光客や海外の人に伝えるなら、「100年後も使える“相棒”を生む技術」と表現するかもしれません。日常生活での価値を意識すれば、「毎日を支える道具としての安心感」と言い換えられるでしょう。

翻訳とは、相手に届く言葉を選ぶこと。

つまり、ブランドとは“意味の翻訳装置”なのです。


地方だからこそ必要な「翻訳力」

豊岡に住むようになってから、地方には強い想いを持つ人が本当に多いと感じます。農家さん、職人さん、小さなお店の経営者の方々。みんなそれぞれに深い物語を持っています。

でも、その物語が外に届かないまま、地元の中だけで完結してしまうことも少なくありません。せっかくの魅力が伝わらずに埋もれてしまうのは、もったいないことです。

たとえば、出石焼の作家さん。本人にとっては「先代から受け継いだ窯を守る」という強い想いがある。でも観光で訪れる人にとっては、その言葉だけでは距離があるかもしれません。そこに「日常の食卓に、静かな余白を添える器」と翻訳すれば、共感はぐっと近くなります。

地方の魅力は、内側にある“想いの深さ”にあります。だからこそ、それを外の人がわかる言葉に置き換える翻訳力が、未来を切り開くカギになるのです。


翻訳は「嘘をつくこと」ではない

ここで誤解してはいけないのは、翻訳とは“盛ること”でも“取り繕うこと”でもない、ということです。

翻訳は、あくまで相手が理解できる言葉に変える作業です。英語を日本語に訳すときと同じように、意味をすり替えるのではなく、伝わる表現に変換するだけ。

だから、ブランドづくりとは「自分たちの想いを捨てること」ではありません。むしろ、自分たちの根っこにある意味をしっかり見つめ直し、それを社会につなげる橋をかけること。

僕自身、ブランドの仕事をしていて一番やりがいを感じるのは、この瞬間です。相手の目の前で「なるほど!」と腑に落ちる瞬間が生まれる。言葉が通じたとき、人と人が本当につながるのを感じます。自分たちの価値って、あまり考えようとしないですよね。


あなたは、何をどう翻訳しますか?

ブランドづくりは難しく考える必要はありません。
「自分の想いを、そのままではなく、相手にわかる形に置き換える」――まずはそれだけで十分です。今日もある杞柳細工の職人さんとこの話をしていました。

・お客さんにとっての言葉は何か?
・地域外の人が聞いて、すぐにイメージできる表現は?
・次の世代に語り継ぐなら、どう伝えるか?

そんな問いを立てながら翻訳していくことが、あなたの事業や活動を“ブランド”へと育てていくはずです。

あなたが今、大切にしている想いは、どんな言葉に翻訳すれば届くでしょうか?そして、その翻訳は、誰の心に届くでしょうか?

では、また来週、お会いしましょう。

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