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  • Maydo Journal #012

    Maydo Journal #012

    “あいだ”で働くということ。

    「あなたは、どこで働いていますか?」

    そう問われると、少し答えに迷う。
    会社か、地域か、自宅か、オンラインか。
    もはやそのどれもが「働く場所」であり、同時に「働く方法」でもある時代だと思う。

    僕は今、兵庫県の豊岡という地方都市を拠点にしている。
    けれど仕事の多くは、東京や大阪、海外の人ともつながっている。
    Zoomで企画を練り、現地では地元企業のブランドづくりを支援する。
    この距離の“あいだ”にこそ、いまの自分の働き方の意味がある気がしている。

    みなさん、こんにちは。ブランディングカンパニーMaydoの森下です。僕の記事を初めて見ていただいた方は、ぜひ自己紹介ページもご覧になってください!

    https://note.com/embed/notes/n44dd574f49ba

    目次

    1. ローカルでも、スローではない。
    2. “あいだ”をデザインするという仕事。
    3. どちらにも属さず、どちらも大切にする。
    4. “あいだ”にこそ、新しい働き方がある。

    ローカルでも、スローではない。

    地方で働くというと、「ゆっくりとした暮らし」「穏やかな時間」といったイメージが先に浮かぶかもしれない。
    でも、実際のところ、スピードはむしろ速い。
    少人数で回す現場、限られたリソース、同時に複数の役割を担う日々。
    “決める力”も“動く速さ”も、都市より問われる。

    ただ、東京にいた頃のような「結果を急ぐ速さ」とは違う。
    豊岡で感じているのは、「仕掛かりが早い」という感覚だ。
    誰かが言う前に動く。
    誰かが気づく前に種をまく。
    その小さなスピードが、あとから大きな波をつくっていく。

    「速さ」よりも「早さ」。
    それが地方で働く上で大事なリズムだと思っている。
    よく言われる「ぶん投げられる」感じをなくすには、先回りすることが重要。準備する早さと量が信頼を勝ち得ていく。


    “あいだ”をデザインするという仕事。

    僕の会社Maydoの仕事は、ブランドの「意味」を再構築すること。
    そのプロセスはいつも、異なる価値観の“あいだ”に立つところから始まる。

    企業の理想と、現場のリアル。
    経営者の想いと、顧客の感情。
    美しさと、使いやすさ。
    ローカルと、グローバル。

    その境界線を行き来しながら、両方の言葉を翻訳していく。
    ブランディングとは、つまり“あいだ”をデザインする仕事なのかもしれない。

    たとえば、豊岡の職人さんたちと東京のクリエイターが一緒にプロジェクトをする時、文化もスピードも違う。
    でも、そこに“共通の意味”を見いだせたとき、想像以上のものが生まれる。
    異なるリズムを重ね合わせるようにして、ひとつのメロディが流れ始める瞬間がある。


    どちらにも属さず、どちらも大切にする。

    「あいだで働く」とは、どちらか一方を選ばないということ。
    都会にいても、地方にいても、
    組織にいても、個人として動いていても、
    どちらも尊重しながら、自分のスタンスを持つこと。

    僕は、地方の仕事をしながらも、都会のスピードを忘れたくないと思っている。
    一方で、都会の価値観だけでは届かない“人の温度”を、豊岡で学んでいる。
    その“間”に身を置くからこそ、見えてくるものがある。
    たとえば、「仕事とは、誰かの役に立つこと」ではなく、
    「誰かの意味に気づかせること」かもしれない、ということ。


    “あいだ”にこそ、新しい働き方がある。

    これからの時代、どこで働くかよりも、どんな“間”に身を置くかが大事になっていくと思う。
    境界をなぞるように働きながら、そこに新しい形を見つけていく。
    それは決して曖昧なことではなく、むしろ自分の輪郭を確かめる作業でもある。

    「あいだ」にいるということは、迷いながらも選び続けること。
    “間”に立つことでしか見えない景色がある。
    その景色を、豊岡から少しずつ言葉にしていきたい。

    あなたにとっての、“あいだ”とはどんな場所ですか?

  • Maydo Journal #011

    Maydo Journal #011

    地方都市である豊岡に移住して、もう5年。
    地方で暮らし、地方で仕事をしながら、
    東京の企業や、海外のパートナーともつながっている。

    気づけば、いつも「ローカルとグローバルの間」に立っていた。
    でもよく考えると、それは今に始まったことではなく、
    ずっと自分の中にあった“アイデンティティ”だったのかもしれません。

    みなさん、こんにちは。ブランディングカンパニーMaydoの森下です。僕の記事を初めて見ていただいた方は、ぜひ自己紹介ページもご覧になってください!

    https://note.com/embed/notes/n44dd574f49ba

    目次

    1. ローカルでも、グローバルでもない「間」にいた。
    2. 豊岡という場所で、再び「間」を生きる。
    3. “翻訳”としての仕事。
    4. “場所”ではなく、“意識”が世界をつなぐ。
    5. 豊岡から、世界を静かに見つめる。

    ローカルでも、グローバルでもない「間」にいた。

    若い頃、イタリアに住んでいたことがあります。
    ヴェローナ、シエナ
    歴史ある街並み、職人の手仕事、文化を大切にする暮らし。
    そこには、“意味のある時間の流れ”があった。

    同時に、東京や出張でよく行っていた、NY、LA、上海、ミラノでの生活では、スピードや効率、そして多様性に触れる日々。
    どこにいても、「これが正解」という生き方はないと感じました。

    だから、帰国してからも、
    「どこに属するか」よりも「どう在りたいか」で動いてきた。
    ローカルとかグローバルという言葉に惑わされず、
    その“あいだ”にいる感覚を大切にしてきたのです。


    豊岡という場所で、再び「間」を生きる。

    今、豊岡で暮らしていると、
    過去に海外で感じた“間”の感覚が、また戻ってきます。

    この街では、文化と産業、自然と都市、昔と今——
    あらゆるものがゆるやかに交差している。
    まるで、世界の縮図のように。

    朝は鞄職人と話し、
    昼は東京の企業とオンラインミーティングをし、
    夜には海外のブランド戦略を練る。

    同じ一日の中で、ローカルとグローバルを行き来する。
    そのリズムが、今の自分にはとても自然です。


    “翻訳”としての仕事。

    僕にとってブランディングとは、
    「意味を翻訳する仕事」だと思っています。

    地方の文化やものづくりの価値を、
    世界や次の世代に届く“言葉”や“かたち”にする。

    逆に、グローバルで得た思想やデザインの視点を、
    地方の現場に持ち帰って根づかせる。

    どちらかに属するのではなく、
    その“間”を自由に行き来しながら、価値を再構築していく。
    その姿勢こそ、Maydoという会社の根っこにあります。


    “場所”ではなく、“意識”が世界をつなぐ。

    ローカルか、グローバルか。
    その二項対立で語られることが多いけれど、
    本質的には“意識”の問題だと思うんです。

    たとえば、
    豊岡にいながらも世界と対話できる。
    東京にいても、地元の文化を深く理解できる。
    AIが進化した今、場所の制約よりも、
    「どんな問いを持って生きるか」が重要になってきている。

    だから僕は、
    ローカルでも、グローバルでもなく、
    その“間”であり続けたい。

    すべての境界を、意味のあるかたちで横断しながら、
    自分のスピードとリズムで、世界を編み直していく。


    豊岡から、世界を静かに見つめる。

    最近、ふとした瞬間に思うことがあります。
    海外にいた頃よりも、今のほうが“世界”を近くに感じている、と。

    それは情報量やテクノロジーのせいだけではなく、
    「どこにいても、自分の軸を持てる」ことに気づいたから。

    この街の静けさの中で、
    これまでの経験や学びがすべてつながっていく。
    その感覚が、たまらなく心地いい。

    ローカルとグローバルの間。
    その曖昧な場所にこそ、
    これからの豊かさがある気がしています。